ポンプの基礎知識のクラスを受け持つ、ティーチャー モーノベです。
前回は軸封装置のうちメカニカルシールについてお話ししましたが、今回はその続きにです。メカニカルシール同様、ポンプで使用される代表選手であるグランドパッキンについて学習しましょう。
グランドパッキンとは、JIS B 0116で「断面が角形又は丸形で、スタッフィングボックスに詰め込んで用いるパッキンの総称」と定義されています。スタッフィングボックス内のパッキンをパッキン押さえで締め付けることによって、軸表面を押し付ける力が発生し、その接触圧力で内部の流体をシールしています。ポンプなどの軸封部では、パッキンの冷却と潤滑のために軸表面を伝わる若干の漏れが必要です。
グランドパッキンには、いろいろな形態のものがあります。
最も一般的なものはブレードパッキン(編組パッキン)で、様々な材料繊維に潤滑剤、粘結剤を加えたものを編み組みしています。
ブレードパッキン(編組パッキン) | 各種の繊維糸を編み組みしてひも状にしたもの。編み方は、八つ編み、袋編み、格子編みなどがある。 |
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ブレードパッキンの代表的な編み方 | |
積層パッキン | 各種の布とゴムを交互に積層したり巻き込んだりしたもの。 |
金属箔パッキン | 金属箔のリボンを用い、適当に巻重ねたもの、または組み合わせたもの。 |
黒鉛パッキン | 黒鉛のテープを巻き込んだり、黒鉛のシートを打ち抜いたりしたもの。 |
スタッフィングボックスの基本形状は先ほど示した通りですが、ポンプなどでシール流体の圧力が大気圧以下になる場合は、グランドパッキン部から空気を吸い込むのを防ぐために、パッキンの中間にランタンリングを組み込み、そこに圧力水などを注入する方法がとられます。また、シール流体が砂のような摩滅物を含んでいる場合や、軸回転速度が高くパッキンの発熱が大きい場合は、ランタンリングに清浄な液を注入して軸封面で摩滅物を取り除いたり、強制冷却を行うこともあります。
グランドパッキンは、ポンプの運転を開始したとき、パッキンを交換したとき、日常運転中に漏れが増大したときに締め付け調整を行います。締め付け調整は軸封部の温度上昇に注意しながら、数回に分け徐々に行います。1回の増し締め量は、パッキン押さえナットの1/4~1回転程度が適当です。また、ナットの締め過ぎ、片締めに注意しましょう。
磨耗性がある液・スラリー液 | 磨耗性がない液、清水・海水、その他潤滑性がある液 | |
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ケーシング内圧が負圧 | 空気を吸い込まない状態 | 空気を吸い込まない状態 |
ケーシング内圧が正圧 | 目視により漏れていない状態 | 毎秒1~2滴漏れる状態 |
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
今回で軸封装置の説明を終わります。